シンクロニシティープラクティス


シンクロニシティーとは、心理学者カール・ユングが提唱した「偶然のようで偶然ではない、意味のある出来事」を意味します。日々の生活の中で実は頻繁に起きているこのような出来事は、私たちが意識を向けて上手に利用することで人生を豊かにしてくれるガイダンスになってくれます。注意すべきことに気づかせてくれたり、気持ちを落ち着かせるきっかけをくれたり、ときには自分が進むべき未来への道しるべを見せてくれることもあります。

現代人である私たちは、自分自身との繋がりを見失っていることが多く、その状態があまりにも長く続くと、「自分のことが分からなくなる」という心の故障を体験することがあります。それは、私たちの思考が「現実」と呼ばれる、目に見える世界での出来事に意識を向けすぎた日々を送っている結果であり、心を使って物事を感じる作業を軽視する傾向があるからです。




人の意識層

心理学者カール・ユングは、人々の意識が、現実と呼ばれる、目に見えて理解できる次元を超えたレベルで存在していることを唱え、その領域を「集合的無意識」という言葉で表現しました。集合的無意識とは、スピリチュアルな用語で言うとハイヤーセルフやアカシックレコードの領域であり、一個人のレベルを超えた人類または宇宙の記憶や知識が存在している領域です。この領域は、サイキックやシャーマンなどの特別なスキルを持った人だけがアクセスできるわけではなく、実は誰もが眠っているときにみる夢を通して、また時にはメディテーションや直観を通して無意識にアクセスしている場所です。心理学の世界では、こうした目に見えてわかる現実とは違う次元で得られる情報も拾い上げながら、その人の内面を充実させていく取り組みをします。

私たちが認識できている「意識」というのはほんの氷山の一角に過ぎません。ほとんどのことはそれ以外の無意識・潜在意識で起きていて、私たちはそこからの影響を大きく受けています。無意識・潜在意識の世界は、私たちが「現実」と呼んでいる目に見えて理解できる世界とは別次元の言語を話します。それはたとえば、ユングが「原型(アーキタイプ)」と名付けた、無意識・潜在意識とつながるさらに大きな意識である集合的無意識の影響を受けている言語などによって解釈することができます。原型(アーキタイプ)は心理学では主に夢の世界を分析するのに使われることが多いですが、実際には目覚めている時の現実世界にも通じるものであり、シンクロニシティーを解釈するのに使ったりもします。





シンクロニシティープラクティスとは



シンクロニシティーを意識して「意味のある偶然」が導いてくれるガイダンスに耳を傾けながら生活してみることを「シンクロニシティープラクティス」と呼んでいます。普段の日常の中で起きている何気ないこと、たとえば誰かとの会話や、なんとなく耳に入ってきた言葉や情報、導かれた場所、夢の内容、思い浮かぶイメージなどの中に、シンクロニシティーを見つけてゆきます。

シンクロニシティーに意識を向けることが習慣化してくると、まずは自分に起きていることを客観的に捉えることができるようになっていきます。これは言葉にすると大したことではないように感じるかもしれませんが、実際に体験しはじめるとかなり使えるスキルです。たとえばそれは、悩んでいる家族や友人にアドバイスを求められたときに、相手の抱えている悩みの源泉や解決方法が、他人という距離からだからこそクリアーに分かるような感覚と似ています。「こうすればうまくいきそう」とか、「その出来事にはこんな意味があるのでは」というような、客観性を持ってその人の人生に起きていることを見つめることができるスキルです。それが自分に対してできるようになってくると、今までよりも高い視点から物事を見ることができるようになっていきます。起きていることや物事に対して、良いか悪いか、ありかなしかなどの平面的な考え方から、より立体的に物事を見つめることができるようになって行きます。

人の世界観は、その人のものの見方によって作られています。「現実」とは、その人の価値観や文化的背景を反映させたものであり、だからこそ人それぞれに異なるものであり、また個人の成長によって変化していくものです。一般的に人は新しい世界観に触れたことによって刺激され、自分の視野を広げていきことができます。そして、それらの刺激によって自分の視野が広がると、これまで信じていた現実が変化し、新しい価値観で物事を見つめるようになっていきます。

これを、日常の中で行ってゆくのがシンクロニシティープラクティスです。あたらしい世界に出かけずとも、すでに自分を取り囲んでいる日常の中からメッセージを受け取り、それを読み取りながら自分とのスピリチュアルな対話をしてゆきます。何気ない日常に中にマジック(魔法)を見つける技術だという解釈もできるかもしれません。ユングが定義している通り、人の意識層は本人が認識しているよりも遥かに大きな世界へと繋がっています。価値観を広げるために遠くへ出向くことももちろんとても効果的ですが、日常生活の中でも十分な材料が提供されているのです。


・最近気になっていることはなんですか?


・不思議または気分の悪い夢を見て目覚めた日、その夢の内容を覚えていますか?


・偶然のような小さなミラクルが起きて、物事がスムーズに進んだのはいつですか?


・ふと思いついたことに従って予定外の行動をしてみたら、意外とすごくうまく行ったことが最近ありましたか?


・「トキメキ」「よろこび」「キラキラ」の感情に触れたのは、どんな時ですか?


・自分が幸運だと感じたり、感謝の気持ちでいっぱいになったのは、どんな時ですか?


上記のような質問を、自分自身に頻繁に投げかけてください。そして、感じたことをノートにメモしていきましょう。



自分が理解していると思っている現実の、ほんの少しだけ違う次元にある情報にアクセスすることー。この方法を学んでゆくと、自分の内面世界がどんどん充実し、内側から輝くしなやかさを身につけることができるようになっていきます。